



















賃貸物件の退去時、管理会社から届いた見積もり書を見て、思ったより高いと驚く方は少なくありません。
その見積もりが正しければいいのですが、正しい知識を持っていないために、本来の原状回復費用以上の支払いをすることになるかもしれません。
そうならないためには、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいた負担割合の正しい計算方法を知っておくことが重要です。
この記事では、負担割合表に基づいた計算方法、不当な請求を見抜く方法、見積もり金額の交渉術など、茨城県県南地域の賃貸物件で起きがちな論点も織り交ぜながら解説していきます。


退去時の精算で損をしないためには、借主が払うべき範囲と貸主が払うべき範囲の境界線を明確にする必要があります。
この基準が曖昧だと、管理会社の言いなりになったり、原状回復費用を払いすぎて損をすることもあります。
賃貸物件の退去時、よくある誤解が、入居した時と同じようなピカピカの状態に戻さなければいけない、という点です。
国土交通省のガイドラインによると、普通に暮らして発生した傷や劣化は大家さんが負担すること、となっています。
例えば、クロス(壁紙)が時間の経過とともに色あせたり、畳が日焼けしたり、フローリングに家具を置いていた跡がついたりすることです。
つまりクロスやフローリングを全面張り替えることになったとしても、何年か同じ物件に住んでいるなら、経年劣化の考え方が適用され、借主が全額負担する可能性はかなり低くなります。
この点を知っておくだけでも、相手の言いなりにならずに済むでしょう。
経年劣化の考え方がある一方で、茨城県県南地域の物件で、借主負担になる例ももちろんあります。
代表的なものは善管注意義務違反、つまり借りたものを大切に使わなかったとみなされる汚れで、水回りの水垢や結露から生じるサッシ周りのカビが該当します。
これらは定期的な掃除や拭き取りで防ぐことができるため、借主の管理不足となりやすい傾向があります。
また、DIYの跡・喫煙によるヤニ・ペットの臭いなどは、通常の使用範囲を超えていると判断されやすくなります。
原状回復ガイドラインの詳細については「原状回復ガイドラインとは?自己負担を減らす7つの方法」をご覧ください。


原状回復負担割合表とは、賃貸物件を退去する際、修繕費用を借主と貸主で、どのように分担するかをまとめた基準表のことです 。
ここで重要なのが、耐用年数と経過年数です。
借主に責任がある損傷でも、部材・設備は時間とともに価値が減るため、借主負担は残存価値を上限に計算する、というガイドラインに従って負担額が決められます。
原状回復ガイドラインでは、各設備がどれだけの期間で価値を失うか(耐用年数)が具体的に定められているので、以下の表でご確認ください。
| 部位・設備 | 耐用年数 | 具体例 |
|---|---|---|
| 内装材 | 6年 | クロス、クッションフロア、カーペット |
| 金属製以外の設備 | 8年 | エアコン、インターホン |
| 金属製設備・水回り | 15年 | 流し台、洗面化粧台、便器 |
| 建物本体に近い設備 | 建物耐用年数 | フローリング(補修が原則)、建具(ドア等) |
フローリングや建具は建物の一部と同じ扱いとなり、壁紙のように数年で価値がゼロになることはありません。そのため、傷がついた部分だけを直すことが原則となります。
また実際の負担額は、物件のグレード・素材・施工品質で変わることも覚えておきましょう。
6年住めばクロスの価値が1円になるとは、材料費の負担が1円に近くなるという意味です。
不注意で穴を開けたとしても、6年経過していれば材料費の負担は1円に近くなりますが、人件費や故意による破損の場合は、別途追加請求となります。
6年住んだから、壁紙をどんなに汚してもタダで直してもらえる、とはならないので注意してください。
また、落書き・穴・ヤニ汚れの放置など、善管注意義務違反が明確な場合は、清掃や部分補修の費用が別途発生することがあります。
負担割合表の数字をそのまま当てはめるのではなく、どの範囲をどの単価で計算して、見積もり書が作成されているかを確認するようにしましょう。
ガイドライン上では、材料の価値が1円になっても、古いクロスを剥がして新しいものを張る工賃が別途発生することもあります。
そのため、管理会社の見積もりでは、材料費と工賃が1つになり「クロス張替え一式」となっていることが多く、材料費と工賃の詳細が記載されていない場合があります。
対処法としては、材料費と工賃の内訳・部分補修の可否・張替え範囲を確認し、費用が妥当かを判断することです。


原状回復費用の請求額に納得するためには、自分で妥当な金額を計算しておく必要があります。
代表的な考え方は、借主負担額=修繕費用のうち借主責任部分×残存割合です。残存割合は、耐用年数-経過年数÷耐用年数で求めるのが基本です。
少々難しい内容なので、ここでは、具体的な事例を用いて解説します。
例えば、つくば市内のマンションに4年間住み、退去時にリビングの壁紙を汚してしまったケースを考えましょう。壁紙全体の張り替え費用が30,000円と提示された場合、計算式は以下のようになります。
【計算式】張り替え費用×(耐用年数6年-居住年数4年)÷耐用年数6年=負担額
【実際の計算】30,000円×2年(残り)÷6年(全体)=10,000円
つまり、実際の支払額で妥当なのは、提示された30,000円ではなく、3分の1の10,000円程度となります。
また、部屋全面(4面+天井)の張り替えで見積っていないか、単価が相場から逸脱していないか、部分補修で対応できるかを確認することで、支払いを抑えたり、見積もり金額に納得しやすくなります。
10年居住した場合、壁紙・クッションフロア・エアコンなど一部の設備機器の耐用年数は完全に経過しています。
この場合、故意の破損がない限り、内装の修繕費は原則として0円になります。
しかし、ハウスクリーニング代は別です。
通常、ハウスクリーニングは耐用年数の概念が適用されず、退去時の清掃状態が判断基準になります。
よって、水垢や換気扇の油汚れが、通常の清掃範囲を超えていると判断されると、ハウスクリーニング費用を請求されることが一般的です。
一方、油汚れ・カビ放置・ペット臭・喫煙のヤニなど、通常清掃の範囲を超える汚れがなければ、借主が全額請求される可能性は低くなります。
もし、見積もり書に「クリーニング一式○万円」と記載があったら、内訳を確認することで、払いすぎを避けることができます。
負担額の計算でもう一つ重要なのが張り替え範囲です。
壁の一部を50cm四方だけ汚してしまったとき、色が変わってしまう、という理由で、壁一面の張り替えを求めてくることがあります。
ガイドライン上の原則は平米単位のため、汚した部分だけの張り替えが基本ですが、継ぎ目が目立つなどの理由で、壁一面の張り替えが行われることもあります。
そのため、小さな汚れ一つで部屋の全面張り替え費用を請求された場合、壁一面だけの張り替えにできないかを確認したり、壁全面の張替えが必要な理由を説明してもらうのは効果的です。


見積もり書以外にも、トラブルが発生する原因となるのが、契約書に記載された特約です。
「特約に書いてあるので全額払ってください」「契約書にハンコを押していますよね」と言われると、その通りにするしかないと思いがちですが、必ずしもそうではありません。
内容が明確で、借主が理解して合意していること、借主が一方的に不利とならないこと、などの条件をクリアして初めて有効となります。ここでは、そんな特約について解説します。
賃貸契約書でよく見かける特約が、退去時のハウスクリーニング費用は借主の負担とする、という一文です。
本来、通常の清掃を行っていればクリーニング代は貸主が負担すべきですが、特約があれば借主負担になるケースがほとんどです。
ただし、有効と認められるには、金額が55,000円税込などの具体的な場合であり、かつ暴利でないことが条件です。
例えば、1Kの部屋でクリーニング代が100,000円に設定されていたり、契約時にその項目について十分な説明がなかったりする場合は、消費者契約法(消費者の利益を守るための法律)に抵触し、特約自体が無効とされる可能性があります。
参考までに茨城県県南地域なら、1Kで30,000円〜45,000円が相場なので、相場とかけ離れていないかを確認することも重要です。
もし管理会社が特約だからと、ガイドラインを無視して高額な請求をしてきた場合、こちらから切り返すのは難しく感じるかもしれません。
しかし、ガイドラインに照らして、通常損耗・経年劣化は貸主負担が原則である点を前提に、合理性と明確性が必要であることを伝えられます。
あるいは、
など、一歩踏み込んだ質問をすることも効果的です。
茨城県の中には、古い慣習が残っている物件、つまり「敷金は戻らないのが当たり前」「退去時はクリーニング代は借主が払うのが普通」という慣習が残っていることがあります。
しかし、法律やガイドラインに、地域独自の慣習は通用しません。あくまでも、契約内容・ガイドライン・汚損の程度・居住年数・説明の有無など、国が定めた基準をベースに交渉を進めることが重要です。
もし交渉をする際は、
という順番で進めていくのが現実的です。


見積もり書を受け取った直後は、焦って支払いや合意をしてしまいがちです。
しかし、ガイドラインに基づいて確認することで、減額となる場合も多々あります。
ここでは、見積もり書チェック→修正依頼→第三者に相談の3ステップの交渉術を解説します。
見積もり書を受け取ったら、「一式」の表記があるかを確認します。
一式の表記だけでは、面積・単価・負担割合が明確ではないため、相場よりも高い金額が提示されている場合があります。そのため、必ず詳細を確認しましょう。
その後、負担割合表の耐用年数に基づき、自分で計算した金額と照らし合わせます。
そして各項目が借主・貸主どちらの負担なのか、借主負担なら耐用年数に基づく負担率が反映されているかを確認してください。
また、クロスや床の張り替えは、全面か一部かで金額がかなり変わるため、汚損箇所の写真と見積もり範囲が一致しているかも確認します。
この時点で、過大な範囲設定や、耐用年数を無視した全額請求が見つかれば、次のステップで修正依頼がしやすくなります。
金額を交渉する際は、メールで行うようにしましょう。
電話だと感情的になりやすく、言った・言わないのトラブルにもなるからです。
メールの文面としては、相手を責めたり、文章を強く言い切るより、ガイドラインに照らした確認、内訳提示のお願い、という形にすると通りやすくなります。
具体的には、①該当箇所の写真、②居住年数、③耐用年数と残存割合の計算、④範囲の合理性、⑤特約の条文確認を短く整理して送ります。
また、相手が再見積もりを出しやすいように、一面張り替えた場合の金額・部分補修の場合の金額など、代替案の見積もりを求めるのも効果的です。
もし、こちらがどれだけ丁寧に根拠を示しても聞く耳を持たない場合は、第三者の窓口に相談してください。
例えば、消費生活センター(消費者ホットライン)へ連絡すると、専門のアドバイザーが適切なアドバイスをくれます。
また、茨城県宅地建物取引業協会などの業界団体への相談も効果的です。
第三者が入ると、管理会社側も説明責任を意識し、内訳の再提示や範囲縮小に応じるケースがあるため、見積もり金額に納得できない場合は早めに動くのが得策です。
この記事では、国土交通省の原状回復ガイドラインに基づいた負担割合の正しい計算方法や、不当な請求を見抜く方法などを解説しました。
内容をまとめると
ということでした。
納得のいく精算を行い、晴れやかな気持ちで新しい生活をスタートさせましょう!
もし、退去前の清掃や原状回復費用でお困りのことがあれば、いつでもSMILEY CLEANINGへご相談ください。
誠心誠意、あなたの笑顔のためにサポートさせていただきます。