



















退去時の原状回復という言葉を聞くと、大きな出費を連想し、不安に感じる方は多くいます。
特に転勤や進学で人の動きが多い地域では、退去に関する悩みは尽きません。
カビやすい梅雨の時期や、小さな子どものつけた傷など、予期せぬ汚れや損傷で、高額な費用を請求されるのではないかと心配される方もいるでしょう。
そこでこの記事では、国土交通省の原状回復ガイドラインをわかりやすく解説し、自己負担を減らす7つの方法や、安心して退去できるための知識と具体的な対策をご紹介していきます。


原状回復ガイドラインとは、賃貸住宅の退去時に、借主が部屋を元の状態に戻す範囲や費用負担の基準を明確にした国土交通省の指針です。
実際、どこまでが借主の負担で、どこからが貸主の負担になるのか、その線引きが曖昧になりトラブルになることは多々あります。
この曖昧な状態を解消し、貸主と借主の双方が公平で納得感のある解決ができるようにしたものとも言えます。
そして、通常の生活で生じる経年劣化や自然損耗は貸主の負担とし、借主の故意・過失による損傷のみを借主が負担する考え方が基本となります。
例えば、家具の設置による床のへこみ、日照による壁紙の変色などは、通常損耗や経年劣化に含まれるため、借主が費用を負担する必要はありません。
この基本的な考え方を理解しているかどうかで、退去時の交渉がスムーズにいくか、あるいはトラブルに発展するかの分かれ目となります。
原状回復ガイドラインが必要な理由は、賃貸住宅の退去時に発生しやすいトラブルを防ぐためです。
ガイドラインが策定される以前は、貸主側が通常損耗や経年劣化はすべて入居者の責任であるとして、高額な修繕費用を請求するケースが少なくありませんでした。
しかしガイドラインがあることで、貸主・借主双方が納得できる基準が明確になり、トラブルや言い争いを避けることができるようになりました。
また、ガイドラインは民法や消費者契約法の考え方を反映しているため、安心して賃貸契約を結び、退去時もスムーズに手続きを進めることが可能となります。
2025年版の原状回復ガイドラインでは、壁紙の耐用年数や経年劣化の考え方がより明確化されました。
例えば、壁紙の耐用年数は6年とされ、6年を超えた場合の残存価値は1円とみなされるため、長期間住んだ場合の負担が大幅に軽減されます。
また、ペット飼育や喫煙による特殊な汚れ、カビなどのケースについても具体的な負担区分が示され、借主の負担が重くならないように配慮されています。


原状回復に関するトラブルを避ける上で、最も強力な武器となるのが写真による状態の記録です。
入居時、部屋に傷や汚れがないかを入念に確認し、もし既存の損傷があれば細部まで写真や動画で記録しておくことは大切です。
記録するべきポイントとしては、
があります。
また、写真や動画には、必ず撮影日時が記録される設定にし、可能であれば、不動産管理会社の担当者にもその記録を確認してもらい、書面に残しておくと効果的です。
契約書には、借主が負う原状回復の範囲や、ハウスクリーニングに関する特約などが記載されています。
特約がある場合は、ガイドラインの原則に反していても、借主がその特約の内容を理解し、納得した上で署名・捺印している場合、その効力が認められることがあります。
しかし、特約があってもガイドラインの基本的な考え方と大きく異なり、借主に一方的な重い負担を課すようなものは、消費者契約法により無効となる可能性があります。
契約書や特約の内容について確認事項がある場合は、契約前に必ず不動産会社や管理会社に詳細な説明を求め、メールや書面でのやり取りで記録を残すようにしましょう。
ペットの飼育や室内での喫煙、落書き、カビの発生などでは、原状回復費用の負担が大きくなることがあります。
これを避けるためには、以下のような対策が有効です。
万が一問題が発生した場合は、早めに管理会社へ報告し、トラブルが深刻化しないようにしましょう。
退去時のハウスクリーニングは、原状回復費用を抑えるために非常に有効です。
特に水回り・エアコン・換気扇などは、自分で掃除するのに限界があるので、専門業者に依頼すると高額な費用を請求されにくくなります。
もし専門業者にお願いした際は、作業中の様子やビフォーアフターを記録しておくと、信頼性が上がります。
退去前に自分でできる原状回復のチェックリストを活用することで、余計な費用負担を防げます。
退去の1か月前を目安に、以下のチェックリストを活用して、念入りに清掃を行いましょう。
| 清掃箇所 | チェックと清掃のポイント |
|---|---|
| キッチン | 換気扇フードの表面、ガスコンロ周りの油汚れ、排水口のぬめり除去 |
| 浴室・洗面所 | 浴槽のエプロン内清掃、排水口のカビ・水垢除去、鏡の水垢取り |
| トイレ | 便器内の汚れ、ウォシュレットノズルの清掃 |
| 壁・クロス | 軽度の手垢、鉛筆などの汚れを消しゴムや中性洗剤で優しく拭き取り |
| 床・フローリング | 掃除機と水拭き、重い家具の跡は濡れタオルとアイロンで修復を試みる |
| 窓・サッシ | 結露による水垢、サッシの砂埃、レール部分のゴミ除去 |
賃貸物件の修繕費用は、部位や損傷の程度によって大きく異なりますが以下の金額を目安にできるでしょう。
| 修繕項目 | 費用の一般的な目安 | 負担区分 |
|---|---|---|
| 壁・クロス張り替え | 1,000〜1,500円/㎡ | 借主の故意・過失による損傷の場合のみ |
| フローリング張り替え | 20,000〜40,000円/畳 | 借主の故意・過失による深いキズの場合のみ |
| 畳表替え | 5,000〜10,000円/畳 | 借主の故意・過失によるひどい汚れ、損傷の場合のみ |
| ハウスクリーニング | 30,000〜80,000円 | 特約がない場合は原則貸主負担 |
| 鍵交換 | 10,000〜20,000円/箇所 | 原則貸主負担(特約で借主負担の場合あり) |
原状回復費用の負担額について、不動産会社やオーナーと交渉する際は、費用相場や証拠写真などを使って、冷静に話し合うことが重要です。
また、ガイドラインや判例を提示することで、相手も納得しやすくなります。
一例として、交渉のコツをまとめましたので、参考にしてください。


原状回復における負担割合とは、退去時に発生する修繕費用を、貸主と借主のどちらがどの程度負担するかを示す基準です。
ガイドラインでは、経年劣化や通常損耗は貸主負担、借主の故意・過失や善管注意義務違反による損傷は借主負担とされています。
そのため、借主が負担すべき修繕費用が10万円だったとしても、経年劣化により差し引かれた分が50%であれば、借主が実際に負担するのは5万円となります。
原状回復ガイドラインでは、入居者が負担すべき範囲を明確にするため、負担割合表が用意されています。
例えば、壁紙の自然な色あせや家具設置による凹みは貸主負担ですが、タバコのヤニやペットによる傷は借主負担となります。
| 部位・状況 | 貸主負担 | 借主負担 |
|---|---|---|
| 壁紙の経年劣化 | ○ | × |
| タバコのヤニ | × | ○ |
| ペットの傷 | × | ○ |
| 家具跡の凹み | ○ | × |
またクロスやカーペットなどの内装材は、6年で残存価値が1円となるため、仮に借主が全面的に損傷させてしまったとしても、6年以上経過していれば、貸主が経年劣化分をほぼ負担するとみなされます。
これにより、長期間住んだからといって、不当に高額な請求をされることがなくなるため、ガイドラインの耐用年数表を参考に、経年劣化がどのように考慮されるかを理解しておきましょう。
原状回復費用の負担区分は、部位ごとに異なります。以下の表は、特にトラブルになりやすい部位について、ガイドラインに基づく一般的な負担区分を示したものです。
| 部位 | 損傷の原因 | 負担区分 | 補足事項 |
|---|---|---|---|
| 壁・クロス | 日焼けによる変色 | 貸主負担(経年劣化・通常損耗) | 全面張り替えの費用は貸主負担 |
| 壁・クロス | 喫煙による広範囲のヤニ汚れ | 借主負担(善管注意義務違反) | 経過年数を考慮した残存価値分のみ負担 |
| フローリング | 家具の設置による軽度のへこみ | 貸主負担(通常損耗) | 補修が困難な深いキズは借主負担 |
| 水回り | 日常的な清掃を怠ったカビ、水垢 | 借主負担(善管注意義務違反) | 業者清掃費用のみ、または経過年数考慮 |
| 網戸 | 破れ(通常の使用による劣化) | 貸主負担(経年劣化) | 借主の不注意による大きな破れは借主負担 |
善管注意義務違反とは、物件を適切に管理・使用しないために、賃貸物件を故意または過失で損傷させることです。


入居前に契約書をしっかり確認することは、退去時のトラブルを防ぐために非常に重要です。特に、以下の点を確認するようにしましょう。
契約書は一度署名・捺印してしまうと、その内容に拘束されるため、しっかり確認するようにしましょう。
退去時には、原状回復費用をめぐるトラブルが多発します。ここでは3つの事例と対策をご紹介します。
事例1:経年劣化部分の全額請求
築10年の物件で、日焼けや照明跡による壁紙の変色に対し、全面張り替え費用の全額を請求された。
対策:経年劣化について説明し、貸主負担分を主張します。
事例2:通常のハウスクリーニング費用全額請求
特約がないにもかかわらず、清掃が不十分という理由で高額なハウスクリーニング費用を全額請求された。
対策:通常損耗の範囲内の清掃は賃料に含まれるため、原則貸主負担であることを主張します。
事例3:次の入居者のための設備アップグレード費用の転嫁
古い設備を新しい高性能なものに交換した費用を原状回復として請求された。
対策:原状回復の範囲を超えた価値の向上であり、借主負担ではないことを主張します。
賃貸物件の原状回復義務は借主だけに課せられるものではなく、貸主側にも修繕義務があります。
しかし修繕義務を貸主が守らない次のような事例があります。
もし貸主側の義務違反となる場合、入居者は修繕を求めることができますし、雨漏りによる家財の損傷があった場合は、賠償請求をすることもできます。
そのため、借主の義務だけでなく、貸主の義務についても正しく理解しておくと、トラブルを避けることができます。


賃貸契約を結ぶ際や更新時には、契約内容の見直しが重要です。
特に、原状回復に関する条項や特約、修繕費用の負担範囲、ペットや喫煙に関する規定などを再確認しましょう。
以下に具体的なポイントを挙げます。
この記事では、賃貸物件の退去時に避けて通れない原状回復について、原状回復ガイドラインの概要や、自己負担を適切に抑えるための具体的な7つの方法を解説しました。
内容を振り返ると、
となります。
茨城県南地域を拠点にしているSMILEY CLEANINGは、確かな技術と豊富な知識で、皆さまの原状回復に関する不安に寄り添い、適正な対応をサポートいたします。
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